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地方発、共創のうねりを 8都市のイベント仕掛け人が結集 NIKKEI THE PITCH CONNECT 全国イノベーション都市会議2026 動脈(上)

NIKKEI THE PITCHは2026年に「NIKKEI THE PITCH CONNECT」を立ち上げた。これは、日本全国・世界のスタートアップ関連イベントとの連携を通して、国内外のスタートアップエコシステムの拡大強化につなげていくことを目的としたものだ。8月3日に東京・高輪で開催されたキックオフイベント「全国イノベーション都市会議2026 動脈」には、札幌から沖縄までの全国8都市のスタートアップイベントの企画担当者らが集結。各地の取り組みや課題を共有するとともに、イベント間の相互連携や情報発信のあり方について意見を交わした。

DATERISE!(仙台)
東北大の強みアピール 市民参加へ「縁日」開催

参加8都市の中で、最も早くイベントを迎えるのが仙台市だ。同市は9月5日、仙台国際センターでスタートアップイベント「DATERISE!」を開催する。仙台市経済局イノベーション推進部の馬場章禎氏は、「今年で2回目を迎える。他の自治体とも連携しながら、規模の大きなイベントへと育てていきたい」と意気込みを語った。

海外で活躍する東北出身の起業家によるトークセッションや、ピッチコンテストなどを充実させる。東北以外からもVC(ベンチャーキャピタル)などの投資家の参加が見込まれるため、マッチングの精度を高めるためにきめ細かな情報提供に力を入れるという。馬場氏は「東北大学からは、ディープテック分野のスタートアップが数多く生まれている。このことを、改めて世界に発信していきたい」と話す。

地元住民が参加しやすいよう、「縁日」と題したイベントも企画している。参加スタートアップの商品やサービスを実際に体験できるコーナーのほか、地元学生が企画したコンテンツも用意する予定だ。馬場氏は「市民を巻き込みながら盛り上げていくことが大切だ。地域のスタートアップのファンになってもらえたら」と語った。

(左)仙台市経済局イノベーション推進部 馬場章禎氏
(左)仙台市経済局イノベーション推進部 馬場章禎氏

DATERISE! https://01booster.com/program/daterise/index.html

NoMaps(札幌)
型破りなサイドイベント 市民参加型のモデルに

9月23日~27日に札幌市で開催される「NoMaps」は、業界関係者の間で「型破りなイベント」として評価されている。「札幌・北海道から、テック・エンタメ・クリエイティブで 世界をめっちゃおもろくするフェス」との位置づけで、今年で10周年を迎える。札幌市が支援するものの、運営の主体はあくまで民間のNoMaps実行委員会だ。札幌市中心部の約80会場を舞台に、トークセッションや展示会などが繰り広げられる。テクノロジーやエンタメなど、新たな未来やビジネスにつながる共創の場を創出していく。

このイベントが注目される理由は、若者たちが自由な発想で数多くのイベントを自主的に企画し、盛り上げている点にある。プログラムが専門的になりがちなスタートアップイベントでありながら、誰もが楽しめるフェスとしての要素を随所に取り入れているのが特徴だ。NoMapsの森村俊夫事務局長は「イベントには、昼のセッションというA面と、夜の飲み会といったB面がある。こうした場で人脈などのつながりが生まれていく」と話した。

今年は300を超えるイベントが開催される見通しだという。目玉企画の一つが、茨城空港から飛行機をチャーターして北海道に乗り込むプログラム「NoMaps Flight大作戦」だ。参加者同士のつながりをより強固なものにする狙いがある。

NoMaps 森村俊夫事務局長
NoMaps 森村俊夫事務局長

NoMaps https://no-maps.jp/

Global Startup EXPO 2026(大阪)
万博のレガシーを生かす 関西のディープテックを世界発信

大阪駅北側・うめきたエリアを中心に10月5~7日まで行われる「Global Startup EXPO(GSE)2026」。京都や兵庫など関西の自治体や財界、経済産業省とも連携し、世界屈指の大型スタートアップイベントに育てようとしている。昨年9月には大阪・関西万博の会場で開催され、米シリコンバレーの投資家らも駆けつけた。

大阪府商工労働部の是洞公紀氏は「GSEはまさに国家的なイベントだ。関西が強みをもつ再生医療、量子や核融合(フュージョン)エネルギーなどディープテック分野の技術を世界に発信していく」と強調する。関西の大企業や中小企業の質の高いマッチングを促し、有望なディープテックの技術を世界市場で製品化できるよう後押ししていく。

(左奥)大阪府商工労働部 スタートアップ拠点形成グループ是洞公紀氏課長補佐
(左奥)大阪府商工労働部 スタートアップ拠点形成グループ是洞公紀氏課長補佐

Global Startup EXPO 2026 https://global-startup-expo.com/

RAMEN TECH 2026(福岡)
博多どんたく流でイベント充実 アジアとの連携重視

10月7~11日、福岡市で「RAMEN TECH 2026」が開かれる。福岡市は2012年に「スタートアップ都市ふくおか」を宣言して以来、起業家支援に熱心に取り組んできた。RAMEN TECHはそのエコシステムを発展させる狙いで開催されるイベントで、今年で3年目となる。

福岡市の中村大志創業推進部長は「福岡市はアジアに近い。アジアとのネットワーク、スタートアップのエコシステムとの融合を進めていきたい」と強調。アジアからも関係者を数多く集め、福岡市などのスタートアップとの共創を目指す。

「RAMEN TECHを博多どんたくのようにしたい」と中村氏は意気込む。博多どんたくは、国内外から200万以上の踊り手や観光客が集まるイベントで、参加者が自由にパレードに参加したり踊りを披露したりする点が特徴だ。「RAMEN TECHも街中などで100以上のサイドイベントを開催したい。イベント名の通り、ラーメン屋などで人脈づくりにつながるネットワーキングも予定している」と話した。

(中央)福岡市 中村大志創業推進部長
(中央)福岡市 中村大志創業推進部長

RAMEN TECH 2026 https://www.ramentech.jp/

TechGala Japan:BEYOND(名古屋市)
世界の専門家が集結 モノづくりの街でマッチング強化

名古屋市で12月15日から3日間開かれるのが「TechGala Japan:BEYOND」だ。愛知県を中核とする東海地域のスタートアップ育成コンソーシアム、CENTRAL JAPANが主催する。

東海地域は、グローバル企業が集積するモノづくりのイノベーションの中心地だ。愛知県スタートアップ推進課の古井健介課長補佐は「事業会社やスタートアップなどの参加者が実際のメリットを得られるように、マッチングの精度を上げていきたい」と話した。今年はモビリティ、宇宙、マテリアルやライフサイエンスなど最先端分野において世界で活躍する専門家を数多く招集しており「具体的な提携などの成果を出したい」と話した。

12月17日は、名古屋市にある国内最大級のスタートアップ支援施設「STATION Ai」がメイン会場になる。古井氏は「熱気のある会場でスタートアップ関係者の皆さんが交流できるようにしている。全国から参加してもらいたい」と語った。全国各地から選ばれた有力ディープテックのスタートアップのピッチなども予定されている。

愛知県スタートアップ推進課 古井健介課長補佐
愛知県スタートアップ推進課 古井健介課長補佐

TechGala Japan:BEYOND https://techgala.jp/

SusHi Tech Tokyo(東京)
商談数は3年間で18倍 会場外の共創にも注力

「SusHi Tech Tokyo 2026」は4月27日から3日間、東京ビッグサイトで開催された。参加者・商談数はそれぞれ6万人、2万5000件を超え、2023年と比べて5倍、18倍と大幅に拡大。スタートアップの出展数は800近くに増えた。

東京都スタートアップ戦略推進本部の赤井佑輔プロモーション推進担当課長は、次回開催に向けて新たな仕掛けを考えているという。「会場の外でもマッチングやイノベーションができるような仕組みを、もっと充実させていきたい」。

「SusHi Tech Tokyo 2027」は2027年5月20日から開催される。赤井氏は「イベントの規模が大きくなっても、会いたい人には会えるようにしたい。会場でのイベントが終わった後も、ネットワーキングでつながりがもっとできるようにしたい」と話した。これは、京都市の「IVS2026」などを視察した同氏が強く感じたことだという。規模や実績にかかわらず、他の地域から学ぶ姿勢を大切にしていると言えるだろう。

東京都 スタートアップ戦略推進本部 赤井佑輔プロモーション推進担当課長
東京都 スタートアップ戦略推進本部 赤井佑輔プロモーション推進担当課長

SusHi Tech Tokyo https://sushitech-startup.metro.tokyo.lg.jp/

IVS2026(京都)
街全体を巻き込む仕掛け クローズド会議や招待制チケットで質向上

7月1日から3日間、京都市内のコンベンションホール「みやこめっせ」で開かれたIVS2026には、来場者1万3000人が詰めかけた。岸田元首相や小泉防衛相も登壇するなど、顔ぶれも豪華だった。

市内のいたるところでサイドイベントが開催され、街全体で盛り上がるのがIVSの特徴だ。京都府などとともに運営を担う京都市産業観光局の保田光春グローバル・スタートアップ課長は「日本全国、そして海外からもスタートアップ関係者が京都に集まり、居酒屋でサイドイベントを開いたり、みんなでマラソンをしたりもする。地元の人たちからも歓迎されている」と語る

IVS2026ではイベントとしての質を高めるための新たな試みも行われた。初開催の「IVS CORE」は、政界・財界・産業界などのキーマンを集めた完全招待制でオフレコベースのクローズドな会議だ。ホテルオークラ京都で2日間開催した会議は、経営者や政策決定者らが本音ベースで濃密な議論ができたと好評だった。その他にも、参加者が重要な知人を割安な料金で招待できる「リファラルチケット」も導入。こうした先駆的な取り組みは、他の自治体にも参考になりそうだ。

(右奥)京都市産業観光局 保田光春グローバル・スタートアップ課長
(右奥)京都市産業観光局 保田光春グローバル・スタートアップ課長

IVS2026 https://www.ivs.events/

KOZAROCKS(沖縄)
商店街に若い起業家を集結 地方創生のモデルに

沖縄県中部の沖縄市で7月に開かれた「KOZAROCKS」は、地方経済の創生モデルとして注目されてきた。アジア最大規模とされる米軍の嘉手納基地に近いコザ商店街で、2016年から毎年開かれている。運営を担うフォーシーズの兼村光取締役は「スタートアップのイベントにとどまらず、街づくりとして重要なものになってきている」と指摘する。

コザ商店街は、店舗の2階や3階をスタートアップがオフィスとして活用できるようにしている。若手起業家らを集めて商店街を盛り上げる試みは成果を出しており、多くの地方自治体が注目している。

KOZAROCKSでは、海外スタートアップによる英語のピッチなど特徴あるプログラムを整えている。音楽イベントやマルシェなども開催され、観光客にも人気だ。今年は大型台風が直撃して1日しか開催できなかったため、残りのイベントは11月20日に実施される。

沖縄では県庁や財界などが中心になり、基地返還などを見据えた街づくりや成長戦略が議論されている。兼村氏は「KOZAROCKSのようなスタートアップのエコシステムを、沖縄の地域創生に組み込めるようにしたい」と話した。

(右手前)フォーシーズ 兼村光取締役
(右手前)フォーシーズ 兼村光取締役

KOZAROCKS https://kozarocks2026.koza.rocks/

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