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ビジコン成功の鍵は事務局にあり 新規事業を育てる組織設計の実際② NTTドコモ×富士通~NIKKEI THE PITCH Challenger

日本経済新聞社主催の「オープンイノベーションフェスティバル Final」内で「NIKKEI THE PITCH Challenger」が2026年3月6日に開催された。

大企業における新規事業創出の機運が高まっている。イベントでは、新たな事業を生み出す基盤となるビジネスコンテスト(ビジコン)の運営や社内プログラムをテーマに、事務局担当者が議論するセッションが設けられた。本記事ではNTTドコモと富士通の取り組みについて紹介する。

社内の「光る原石」を探す
 参加しやすい入口を設計

NTTドコモ 経営企画部 事業開発室 docomo STARTUP担当 担当課長 雨宮大地氏
NTTドコモ 経営企画部 事業開発室 docomo STARTUP担当 担当課長 雨宮大地氏

セッションでは、「JTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー)をハックする事業創出プログラム・デザイン」をテーマに、新規事業プログラムの運営について議論が交わされた。登壇したのはNTTドコモの経営企画部 事業開発室で「docomo STARTUP」を担当する雨宮大地氏と、富士通CEO室 DX Divisionの川口紗弥香氏。

NTTドコモの「docomo STARTUP」は、未踏領域での事業創出を目指す取り組みで「COLLEGE(学ぶ)」「CHALLENGE(挑む)」「GROWTH(育てる)」の3段階で構成されている。社外から資金を調達し、スタートアップとしてスピンアウトする仕組みを整えた結果、開始から3年で9社が誕生した。

富士通はIT企業からDX企業への変革を目指す全社プロジェクト「Fujitsu Transformation(通称フジトラ)」を推進している。その一環として、事業創出プログラム「Fujitsu Innovation Circuit(FIC)」を展開し、学びと実践の場を通じた人材育成と事業創出に取り組んでいる。

最初の議論は、「新規事業のプログラムにどう魂を吹き込むのか」。両者は、制度の開設当初は熱量の高い人材が集まるが、徐々にその勢いが落ち着いてしまうという認識を共有した。そうした中で、NTTドコモの雨宮氏は「アイデアに加えチームと市場を重視する。行動力と熱量のある人材を見出し、起業家として育てる」と説明。同プログラムでは、事業創出にかかわったメンバーのうち最大3人までが同時にスピンアウトできることも紹介した。

富士通の川口氏は、「まずやってみる姿勢を重視している。事業部の人間でなくても参加できる企業横断の共創ワークショップ『FUJI HACK』を開催することで、参加者が自分の可能性に気づいたり、潜在能力を事務局が発掘したりできる」と語った。

泥臭く社内を説得
 トップ関与と実績が社内浸透の鍵

富士通CEO室 DX Division Fujitsu Innovation Office シニアマネージャー 川口紗弥香氏。「起案者と事務局が一体となって取り組むべき」と語る
富士通CEO室 DX Division Fujitsu Innovation Office シニアマネージャー 川口紗弥香氏。「起案者と事務局が一体となって取り組むべき」と語る

議論は事業創出を支える組織の在り方に及んだ。両社とも人材やパートナーの選定は起案者に委ねつつ、外部からの不要な干渉には事務局が対応する。川口氏は「批判への対応は事務局が担うが、多様な意見は改善の糧になる」と指摘。雨宮氏も「事業とは直接関係のない意見に対しては事務局が矢面に立つ一方で、事業に対しては厳しく目を光らせ、なぜあなたがやるのか、なぜ今なのかについては、常に問い続けている」と語った。

川口氏は組織への浸透について「経営層の理解はあるが、現場には温度差がある」と説明。丁寧な対話を重ね、人材育成の意義への理解が進んだとする。雨宮氏は「経営トップの発信と関与が理解促進に寄与する」と強調し、9社のスピンアウトという実績の重要性にも言及した。

大企業の新規事業創出の成功を左右するのは、事務局の役割であることが明らかになった。起案者の情熱を引き出し、社内の懐疑を乗り越えながら意義を浸透させる。こうした地道な取り組みと覚悟が、新規事業を成功へ導く鍵と言えるだろう。

ビジコン成功の鍵は事務局にあり 新規事業を育てる組織設計の実際① ANA×大東建託 はこちら