NIKKEI THE PITCH

  • ホーム
  • ライブラリー
  • ネットワーキングの好機、商談に発展も VivaTech2026で見た世界的展示会のパワー
ネットワーキングの好機、商談に発展も VivaTech2026で見た世界的展示会のパワー
VivaTechnology2026の日本コーナー。JETROとフランス商工会議所などが企画した

欧州最大級のスタートアップと最新技術の展示会「VivaTechnology(ビバテクノロジー)」が今年も6月にフランス・パリで開催された。世界165カ国から合わせて1万5000社超のスタートアップ、4500超のパートナーが参加し、4日間の来場者はのべ20万人超にのぼった。NIKKEI THE PITCHは日本での本選で優秀な成績を収めた企業を中心にスタートアップ4社を紹介。なかには欧米や中東からも商談の申し込みが入った企業もあるなど、世界的イベントの威力を感じさせる結果となった。

仏やインドの首相も視察、フィジカルAI躍動

今年のビバテックはフランス全土に熱波が及び始めた時期に開催された。会場はパリ西南部のパリ・エクスポ・ポルト・デ・ヴェルサイユ。3フロアに広がる展示会場は世界中の有名企業から無名のスタートアップのブースまでが所狭しと立ち並ぶ。さらに、欧米を中心に各国が大きなブースを展開していたのも目を引いた。仏マクロン首相のほか、同時期に仏国内で開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)に出席したインドのモディ首相がビバテック会場を視察したことも、欧州だけでなく世界がこのイベントに注目することを示している。

今年の話題の中心はもちろん人工知能(AI)だ。会場ではあちらこちらでフィジカルAIの実演が行われ歓声があがっていた。AIを活用するのが当たり前となったいま、誰とどう手を組むのか。参加者は盛んに商談やネットワーキングを進めていた。その象徴ともいえるのが、展示会エリアの奥にある商談エリア。限られた参加者のみが入れるゾーンで、中では大きなバーカウンターでシャンパーニュなどの飲み物や軽食を供する。座って商談できるスペースを用意しており、ここで実際に数億円単位の商談が成立することもあるという。

展示エリアの奥に設けられた商談エリア。特別なパスを持っていないと入れない
展示エリアの奥に設けられた商談エリア。特別なパスを持っていないと入れない

NIKKEI THE PITCHは4社紹介、商談が世界から

NIKKEI THE PITCHが紹介した1社であるONESTRUCTION(鳥取市)は4日の会期中にアフリカや中東、欧州などの国政府、ゼネコンや建設コンサルなどから声がかかり、実際に商談に進んでいる。同社はBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)と呼ばれる3次元(3D)データの提供など建設分野のソリューションを開発する。

同社のヘイウッド・ルーカス氏がビバテックで驚いたのは商談に至る機会の多さとスピードだという。「他の国際展示会に出展した際はエンタープライズとスタートアップが別のエリアに区分けされてしまい、スタートアップにあまり声がかからなかった」(ヘイウッド氏)。一方、ビバテックは大企業もスタートアップも混在させた展示。アプリにも事前検索機能があり、世界中の関係者から声がかかったという。

ONESTRUCTIONのヘイウッド・ルーカス氏。会場で事業紹介ピッチ動画を収録
ONESTRUCTIONのヘイウッド・ルーカス氏。会場で事業紹介ピッチ動画を収録

医療系スタートアップのAOI Biosciences(大阪・茨木)も今回初めてビバテックに出展した。2026年3月のNIKKEI THE PITCH GROWTH決勝大会でスタートアップ賞を受賞している。世界で3億5000万人の人々が苦しむ自己免疫疾患の早期診断を可能にする「ネオセルフ理論」という技術などを展示した。

同社副社長COO(最高執行責任者)の木村圭一氏によると、同社がこれまで出展したのは専門的な展示会ばかり。「いろいろな人に声をかけてもらった。欧州でも興味をもってくれる人が多くいた」と手応えを感じている。自己免疫疾患は症状から他の病気を疑われることが多く、正確な診断がつくまでに時間がかかることが多い。「そのような経験をした多くの人が関心を持ってくれたようだ」(木村氏)。

AOI Bioscencesの木村圭一氏も会場で事業紹介ピッチ動画を収録した
AOI Bioscencesの木村圭一氏も会場で事業紹介ピッチ動画を収録した

アシックスは韓国スタートアップと出展

エンタープライズ側で参加した企業の1つがアシックスだ。出展は実は韓国のスタートアップ企業、Rebuilder AIのブース内。なぜ韓国スタートアップのブースにアシックスがいるのか。

「きっかけはCES2025でした」と話すのは同社バーチャルヒューマンリサーチチームのマネジャー、高島慎吾氏だ。CESでたまたまとなりのブースにいたのがRebuilderAI社だった。帰国後に新作のランニングシューズ開発に挑んでいたとき、「彼らの技術を思い出しコンタクトしてみた」という。

RebuilderAI社はAIを活用して3Dモデルを開発する技術を誇る。特にファッションや靴に特化しているのが特徴だ。高島氏によると「ざっくりと描いたイメージ図やイラストとプロンプトを入れるだけでイメージをすぐに用意してくれる」という。CESでの出会いからわずか数カ月でRebuilderAI社のシステムを導入し、1年ほどで実際の商品開発につなげたというからスピード感がある。

アシックスは韓国のスタートアップ、RebuilderAI社とコラボ
アシックスは韓国のスタートアップ、RebuilderAI社とコラボ

CESに続きビバテックにも出展したアシックスの高島氏は「出展する良さはコラボ相手に出会えること。世界中に様々な会社から声をかけてもらえる」と国際展示会のパワーを実感している。

展示会は世界の潮流を知るだけでなく、世界を相手にネットワークを広げ商談の機会を獲得する貴重なチャンス。日本のスタートアップにとっても飛躍の場になるはずだ。