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女性起業家が語る、イノベーション創出の新時代 多様な視点で切り拓くビジネスの可能性

日本経済新聞社は1月29日、パレスホテル東京(東京都千代田区)で「NIKKEI THE PITCH朝食会」を開催。製造業からフェムテック、投資、人材育成まで、多様な分野で活躍する女性起業家たちが、次世代のビジネス創造について議論を交わしました。

女性起業家が語る、イノベーション創出の新時代 多様な視点で切り拓くビジネスの可能性

出席者
株式会社MTG Ventures キャピタリスト
NIKKEI THE PITCH中部大会審査員

山本 有里

Orbray株式会社 代表取締役社長

並木 里也子

株式会社ZERO 代表取締役CEO

大西 千聡

株式会社羽生プロ 代表取締役社長・著作家・メディアプロデューサー

羽生 祥子


オモテテ株式会社 代表
NIKKEI THE PITCH SOCIALBUSINESS SCHOOLバディ

高堰 うらら

日本経済新聞社

北村 信行

日本経済新聞社

村山 祥子

多様なキャリアを持つ女性起業家が直面する課題とは?

  • 村山皆さんのキャリアと仕事内容、女性起業家ならではの課題意識を教えてください。
  • 並木私たちの会社は、半導体部品や世界最小のモーターなど、重要な技術を持っています。個人のキャリアとしては、スノーボード日本代表選手、15年間の専業主婦経験を経て入社しました。今は3人の子供を育てながら経営に携わっています。女性起業家として感じるのは、お互い様精神の大切さです。誰かが突出して成功するのではなく、種まきの段階から仲間と試行錯誤し、失敗も共有して助け合える関係性が、女性のモチベーションを高める重要な要素だと考えています。特に、製造業界では女性が極めて少ない状況です。
並木 里也子⽒
並木 里也子⽒
  • 山本キャピタリストとして活動する傍ら、名古屋大学でアントレプレナーシップ教育に携わっています。起業家を増やすだけではなく、挑戦するマインドセットを身につけてもらうことこそ重要だと考えています。自身が携わっているGIRAFFES JAPANの活動を通じて感じるのは、「私なんて」「どうせ無理」と一歩を踏み出せない女性が、非常に多いということです。参加者の中には、赤ちゃんを抱きながら参加するお母さんもいます。日本は女性活躍の面で発展途上です。資金調達の規模や事業の大きさではなく、まず一歩を踏み出す大切さを実感してもらうことが必要ではないでしょうか。
山本 有里⽒
山本 有里⽒
  • 高堰IOTとソフトウェアを扱うスタートアップの代表として23歳で起業し、現在27歳です。周りを見て女性のキャリアパスで印象的なのは、出産後に周囲の期待度が変化したと話す方が多いことです。積極的に仕事に打ち込む姿勢を評価されていた女性であっても、出産後は「主婦として輝いているね」とカテゴライズされてしまい、「(職場に)戻ろうと思ったけど自信を失った」と話すのを聞いたことが多々あります。
高堰 うらら⽒
高堰 うらら⽒

直面するライフイベントの壁

  • 村山結婚、出産、子育ては女性特有の大きなターニングポイントですよね。適切な起業タイミングは、人それぞれです。
  • 大西私は子どもに進行性の難病が発覚した経験から、一人ひとりの個性を活かす環境づくりの重要性に気づき、起業しました。個人向けにはキャリアデザインとライフデザインを軸に、法人向けには事業開発や組織開発を軸に、個性の言語化とその活用を支援する事業を展開しています。女性は、子育てや出産などと両立しながら新たなチャレンジをしなければなりません。現状は、IPOか個人事業主かの二択で評価される雰囲気がありますよね。起業はもっと多様なものですので、その中間的な選択肢も評価してほしいと感じています。
  • 高堰25歳を過ぎると、出産や転勤などの理由で起業を中断したり、諦めたりする仲間が増えていきます。加えて、女性は失敗を過度に恐れる傾向があるとされますが、優秀な層ほど、「良い会社を辞めてまで起業するリスクを取る価値があるのか」と悩むそうです。
  • 並木日本では、失敗を見る機会が極端に少ないと思います。例えば私は毎日5つ以上、失敗しています。試行錯誤しながらも、周囲の助けを借りて前に進むことは、貴重な経験になります。こうした母親の生き方は子どものキャリア観にも影響を与えるでしょう。だからこそ、私は「ハッピーママを増やしたい」という思いで活動しています。
大西 千聡⽒
大西 千聡⽒

仲間同士、一体となってつながりを増やしていく

  • 羽生アジアの女性起業家は国の農業改革や医療改革など、日本とは全く異なるスケールで事業を展開しています。日本では、まだここまでの機運は生まれていません。国内で私はこれまで500名以上の女性起業家とお会いしましたが、30名程度の小規模なコミュニティに分散しており、もったいないと感じます。これらを束ねれば、1000人規模のネットワークに成長する可能性があります。大企業とスタートアップの交流を促進するのも一案です。東証プライム上場企業の管理職人材は、役員への説得の仕方、プランニングの方法、営業のやり方、人脈の作り方など、起業に役立つノウハウを持っているんですよ。
  • 並木女性起業家が提案するビジネスについて、「お金になるか」という評価軸だけでは測れない時代が来ていると感じています。例えばフェムテック領域は、10年前には誰もビジネスになるとは考えていませんでした。これからの時代は、本質的な価値や社会的なインパクトを考える提案も重要ではないでしょうか。また、起業家同士のコミュニティ作りにおいて、オンラインだけでは限界があります。私自身の経験から、お茶会のような場で、普段一人では行かないような体験を共有したり、リアルな出会いを通じて気づきを得たりすることの大切さを実感しています。特に女性起業家の場合、単なるビジネスの話だけでなく、体験や感性を共有できる場づくりが重要だと考えています。
羽生 祥子⽒
羽生 祥子⽒