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リバースピッチ presented by ストライク 起業家の知恵で地方の有力企業をもっと強く
都内で12月9日から2日間にわたり開催された「オープンイノベーションフェスティバルEAST」は全国から有力投資家や起業家が集い、交流を深めた。

リバースピッチ
presented by ストライク
起業家の知恵で
地方の有力企業をもっと強く

日本経済新聞社がスタートアップやアトツギベンチャーを支援する「NIKKEI THE PITCH」プロジェクトとして大型イベント「オープンイノベーションフェスティバルEAST」が2025年12月9日、10日に都内で開かれた。初日には「リバースピッチ presented by ストライク」を開催。エレコムや進学プラザグループなど有力企業が自らの課題を明らかにし、連携できるスタートアップを探す取り組みだ。会場には200人以上の参加者が集まった。

社会課題解決に向け連携 地方創生の新たな形を模索

リバースピッチで「地域の有力企業をさらに強くしたい」と語ったストライクの荒井社長
リバースピッチで「地域の有力企業をさらに強くしたい」と語ったストライクの荒井社長

 リバースピッチの開催を発案したM&A(合併・買収)の仲介大手、ストライクの荒井邦彦社長は「より大きな枠組みで地方創生を捉えると、地域を代表する企業がM&Aを行い、グループを拡大することで地域を活性化できる」と指摘した。数多くの企業を支援してきた豊富な経験や知見から、「地域の有力な会社はスタートアップの買収や提携により、活力を一段と高めて、より強い会社になれる」としている。

東芝テック
スタートアップとのシナジーで顧客課題を解決

東芝テックの石井氏は顧客企業の課題解決にはスタートアップとのシナジーが重要だと指摘した
東芝テックの石井氏は顧客企業の課題解決にはスタートアップとのシナジーが重要だと指摘した

 東芝テックの経営企画部CVC室パートナーの石井達也氏は「スタートアップとのシナジーによって、クライアントの課題を解決したい」と語った。東芝テックはPOSレジの世界大手であり、小売業者とのネットワークと、ハードウェアの運用・保守人材を広く展開している。同社が出展する展示会ブースの一部をスタートアップに提供しており、「商談の機会を提供して顧客獲得も支援できる」という。

エレコム
インドのヘルスケア市場や医療機関向け市場開拓で協業模索

エレコムの葉田氏は医師でもあり、学生時代にはカンボジアで小学校を建設した経歴で若い起業家から注目された
エレコムの葉田氏は医師でもあり、学生時代にはカンボジアで小学校を建設した経歴で若い起業家から注目された

 「エレコムはパソコン周辺機器が主力製品で、売上高の9割が国内だ。ただ、最近はインドのデジタルヘルスケア企業のメディバディと資本業務提携したばかり。インドでのヘルスケア製品の開発などで連携できるパートナーを探している」。エレコムでヘルスケア事業を担当する葉田甲太執行役員はこう強調した。エレコムはパソコン周辺機器が有名だが、M&Aを通じて事業領域を拡大している。世界最大の人口を抱えるインドのヘルスケアという巨大市場の開拓により、グローバル企業としても飛躍したい考えだ。
 エレコムは医療機関向けの市場開拓に注力している。国内では2030年までに、ほぼすべての医療機関への電子カルテ導入を目指している。葉田氏は「カルテの電子化に伴いパソコン周辺機器の需要も増える。医療機関向けの製品開発や販路開拓も進めたい」としてスタートアップとの連携を強化する方針だ。
 葉田氏は医師であり、学生時代にカンボジアに小学校を建てた過去を持つ。その逸話を記した『僕たちは世界を変えることができない。』(小学館)は、俳優の向井理氏主演で映画化された。若手起業家もうなる経歴を披露し、場を盛り上げた。

エイチ・アイ・エス
自社のネットワークを活かし、
スタートアップを支援

エイチ・アイ・エスは、国内145拠点、海外58カ国で旅行関連事業を展開していると紹介した安藤氏(取材当時)
エイチ・アイ・エスは、国内145拠点、海外58カ国で旅行関連事業を展開していると紹介した安藤氏(取材当時)

 エイチ・アイ・エス投資戦略本部で、CVC推進グループの安藤貴之担当リーダーは同社のCVC戦略について説明した。現在の投資先は約20社だ。安藤氏によれば、国内外で事業を展開する180社を超えるグループ会社、約1万5000社の取引先といったネットワークを生かし、「挑戦者であるという気持ちでスタートアップを支援する」という。

きらぼしグループ
社会課題の解決に向けてスタートアップと協業

きらぼしグループのUI銀行の近藤氏は顧客に高齢者が多いデジタルバンクとして成長するため、スタートアップとの連携を狙っている
きらぼしグループのUI銀行の近藤氏は顧客に高齢者が多いデジタルバンクとして成長するため、スタートアップとの連携を狙っている

 東京きらぼしフィナンシャルグループのデジタルバンクであるUI銀行は、口座開設から振込、出金までをアプリ一つで完結できるサービスが主力であり、東京や神奈川で数多くあるきらぼし銀行の窓口で相談できることが強みだ。同社営業企画部副部長の近藤正則氏は「金融以外の事業者と協業して社会課題の解決を目指している」と語った。
 同社はデジタルバンクとしては珍しく60歳以上のシニア層の顧客が多い点にも触れ、より使いやすいUI/UXの開発や、地域に根ざした金融サービスの提供などでもスタートアップとの協業を進めたい考えだ。

進学プラザグループ
介護や飲食業のM&A成功に意欲

進学プラザグループの阿部代表は介護や飲食業などのM&Aに積極的だ
進学プラザグループの阿部代表は介護や飲食業などのM&Aに積極的だ

 進学プラザグループは、宮城県、山形県と福島県を中心に学習塾を展開している。創業は1985年であり、M&Aによりグループを強化し、年間売上高は100億円を超えた。同社の阿部孝治代表は今後、介護などエッセンシャルワーカーが働く業界で積極的な買収をする方針を明らかにした。業界の利益率を高めるため、スタートアップとの連携による業務効率化などに取り組んでいく。
 リバースピッチの冒頭で、阿部代表は会場に集まった若い起業家らにメッセージを送った。もともと、日本リクルートセンター(現・リクルート)出身で、当時社長を務めていた江副浩正氏から多くを学んだ。「一つは、必ずナンバーワンになれる仕事を選ぶこと。もう一つは、社長の仕事は優れた人材を採用すること」であり、これを肝に銘じて経営してきたという。
 阿部代表は同社が少子化に直面する進学塾でも経営手腕が評価されているが、「東日本大震災や新型コロナウイルス感染症のパンデミックを経験し、明日何が起こるかは分からない。そんな変化に対応するためには、自分自身が大きく変わらなければいけない」と語った。

電通ベンチャーズ
事業開発とメディアソリューションの両面で支援

電通ベンチャーズはヘルスケアや宇宙など幅広い領域の企業に投資していると語る岡田氏
電通ベンチャーズはヘルスケアや宇宙など幅広い領域の企業に投資していると語る岡田氏

 電通ベンチャーズの岡田祐佳アソシエイトは「メディアやコンテンツなど電通グループと親和性が高い企業だけでなく、ヘルスケアや宇宙など幅広い業界の企業に投資している」と語った。協業先支援については「電通イノベーションイニシアティブ」と「電通スタートアップグロースパートナーズ」という2つの組織があるという。前者は投資・事業開発を推進する組織で、後者は電通グループのメディアソリューションでスタートアップを支援する組織だ。「電通グループのアセットを生かしながら、スタートアップと様々な連携機会を作りたい」としている。

盛況の交流会
スタートアップのプレーヤーが意見交換

SMBCベンチャーキャピタルの佐伯社長(右)は「スタートアップを強くするために関係者が意見をどんどん出してピッチを盛り上げることが大切だ」と強調した
SMBCベンチャーキャピタルの佐伯社長(右)は「スタートアップを強くするために関係者が意見をどんどん出してピッチを盛り上げることが大切だ」と強調した

 リバースピッチ後には、登壇者や審査員、スポンサーをはじめとした関連企業が親交を深める交流会が行われた。開会の挨拶で壇上に立ったSMBCベンチャーキャピタルの佐伯友史社長は、「未来を感じる良いプレゼンばかりだった」と登壇者を評価した。佐伯社長はイベントの2日間、朝から夕方まで会場で若い起業家らのプレゼンに耳を傾け、激励もしていた。
 佐伯社長は会場に集まった有力な投資家や起業家を前に「皆さんには(NIKKEI THE PITCHプロジェクトに対して)こういうことができないのかという意見をどんどん出してもらい、日本のスタートアップをもっと盛り上げていけるようにしたい」と述べた。

ストライクの荒井社長はピッチ登壇者ら若手起業家から囲まれ、アドバイスもしていた。
ストライクの荒井社長はピッチ登壇者ら若手起業家から囲まれ、アドバイスもしていた。

 会場では、起業家や投資家、協業先を探す事業会社の関係者が活発な議論を交わしていた。SMBCの佐伯社長やストライクの荒井社長らが若い起業家たちと交流するネットワーキングの場となった。
 ストライクの荒井社長と話した環境系スタートアップの経営者は「荒井社長は資源循環ビジネスについても詳しかった。リサイクル事業では既存のサプライチェーンとの親和性を高めることが重要だと丁寧にアドバイスしていただけた」と語った。
 日本経済新聞社の牧江邦幸常務取締役(メディアビジネス統括)は盛り上がった交流会の最後の挨拶で「今後、NIKKEI THE PITCHのイベント規模を拡大し、スタートアップ活躍のムーブメントにつなげたい」と意気込みを示した。