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企業が「逆プレゼン」スタートアップに協業呼びかけ

企業が「逆プレゼン」スタートアップに協業呼びかけ

NIKKEI THE PITCH オープンイノベーションフェスティバル

2026年3月、日本経済新聞社主催の「オープンイノベーションフェスティバルFinal」が都内で開かれた。8日のプログラム「リバースピッチ Presented by ストライク」では、NANKAIやアイリスオーヤマなどの企業が登壇。自らの課題を提示し、スタートアップに協業を呼びかけた。

NANKAI NEXT Ventures
新事業創出へCVC始動
 生成AIからアートまで投資

NANKAI NEXT Ventures

人口減少社会に突入し、鉄道事業は安定的な経営基盤が揺らいでいる。時代の流れを踏まえ、NANKAI(旧南海電気鉄道)は新たな収益源の確保を目的として2025年にNANKAI NEXT Venturesを設立した。登壇した粉川純一投資部長は同社の投資方針について「既存事業とのシナジーや効率化は考慮しない。革新的で成長性・収益性のある領域への挑戦に投資を行う」と説明。ポートフォリオの一例として、生成AIによるアニメ制作企業や、現代アートのコミュニケーションプラットフォーム運営企業を挙げた。

NANKAIグループ自身もスタートアップ創出に取り組んでいる。社員が自己資金で起業する制度や、外部から起業家を募る「客員起業家」制度を導入。「当社のネットワークやアセットを提供しながら、共にスタートアップを生み出す取り組みだ」と解説した。

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四国化成ホールディングス
保有技術とシナジーを生む新規事業模索
 CVCの立ち上げも

四国化成ホールディングス

四国化成ホールディングスは、レーヨンの原料となる二硫化炭素の製造を祖業とし、技術を横展開しながら化学と建材の両分野で事業を育ててきた。挑戦を重んじる企業風土も特徴だ。同社の新規事業部長を務める勝村真人氏は「社内公募活動から生まれた起業家精神を持つ人材の育成と、当社技術を起点とした事業の創出を目指す」と決意を述べた。さらに新規事業として行った電子材料分野における新製品の開発や、農業分野の市場開拓などの実績を説明した。

2026年7月には外部運用会社と組んだコーポレートベンチャーファンド「SHIKOKUイノベーションファンド」を設立する予定だ。勝村氏は「化学・建材・材料関連はもちろん、シナジーが見込める他分野にも積極的に投資を行う」と熱意を見せた。

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バルニバービ
淡路島で過疎地を人気エリアに
 地方創生を促進

バルニバービ

飲食店の企画運営を手がけるバルニバービは、地方創生の取り組みを紹介しパートナー企業を募った。2019年、観光施設が乏しかった淡路島西海岸にレストラン「GARB COSTA ORANGE」をオープン。佐藤裕久代表取締役会長は「鉄道もなく車での来訪が前提の土地で、どうやって売るのかという社員の反対もあった」と振り返る。それでも同店は、年間2億5000万円を売り上げる人気店に成長した。「同店を起点に22の飲食店やホテルが集まり、地域内経済は約12億円規模となった」と説明した。

現在は、愛媛県伊予市や島根県出雲市でも地方創生に取り組んでいる。「日本を良くしようと考えているスタートアップと地方で一緒に挑戦したい」と呼びかけた。

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ミツカンホールディングス
国際展開と多角化に成功
 共創で食に新たな価値を

ミツカンホールディングス

グローバル展開に積極的なミツカングループは、アジア、欧州、北米で事業を展開している。2023年度には海外売上高比率が61.5%に達した。酢製品のイメージが強い同社だが、国内事業では売上構成の約25%を納豆が占めるなど、事業の多角化に成功している。

20年先の食卓を見据え、同社はコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を組成しオープンイノベーションに力を入れる。戦略企画部部長の岡本洋忠氏は「当社が培ってきた発酵・加工技術、ものづくりのノウハウ、商品企画力、食品に関するグローバルなバリューチェーンをアセットとしてスタートアップに提供し、新たな価値を創出したい」と展望。健康増進に資する原料の開発や、自動化ソリューションなどの領域に挑戦するスタートアップを募った。

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アイリスオーヤマ
人口減少社会を救う
ロボティクスプラットフォーム開発へ

アイリスオーヤマ

日用雑貨から食品、家電まで幅広く展開するアイリスオーヤマは、業務用清掃ロボットの国内稼働台数シェアトップを誇る。ロボティクス事業のミッションは「労働人口減少社会をロボットで解決する」。同領域で共創するスタートアップを求めた。

ロボティクス事業本部本部長の吉田豊氏は「ロボット単体ではなく、AI、クラウド、運用体制まで内製化し、ロボット、照明、空調、IoTインフラを一つのプラットフォームでつなぐ」と強調。ロボットを核としたインフラ構築を目指すとした。

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ヤンマーベンチャーズ
温暖化対策から省人化まで
 広くスタートアップと協業

ヤンマーベンチャーズ

ヤンマーベンチャーズは、エンジンや農業機械を中核とするヤンマーグループのCVCだ。シニアキャピタリストの筒木壮太氏は、注力する投資領域として、アグリテックやバイオテックによる「持続可能な食料生産」、脱炭素関連技術を中心とした「温暖化対策」、IoT・AIやロボティクスを活用した「省人化・省力化」、さらにスポーツチームを起点とした顧客の「経験価値の向上」を挙げた。創業初期の企業から上場に向けて事業を拡大している企業まで、広く投資をしていると説明した。

事業会社を傘下に持つヤンマーホールディングスからは独立した意思決定ができることが同社の特徴だ。筒木氏は「ヤンマーグループと戦略的な協業価値が現時点で見いだせなくても、将来的な共創を見据えて投資できる」とし、「投資担当と協業を担う共創チームが並行して動けることが強みだ」と語った。

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シンニチ工業
地域企業の概念実証の場として
スタートアップと共創

シンニチ工業

シンニチ工業(愛知県豊川市)はパイプ・鋼管のメーカーで、製品は建設現場をはじめ、自動車の触媒コンバーターやゴルフカップにも使われている。登壇した木下雄輔代表取締役社長は同社の4代目であり、金融機関での勤務経験を経て2017年に同社に加わり、第2の創業に挑む。

入社以来社内体制の整備を進める一方で、スタートアップや学生団体との共同プロジェクトを推進。AIを活用した製造現場DXや、学生の発案を取り入れた事務所・食堂のリノベーションなど、共創を重ねてきた。木下氏は「大企業に提案したいけれど前例がないという起業家に、実証の場を提供する」と述べ、イノベーションハブとしての役割を担う考えを示した。「製造のAI化や金属の高付加価値化など、幅広いアイデアを共に検討できる仲間を探している」と語った。

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